最終更新日 2024年8月26日
問題を抱える従業員を解雇するには、どのように対処すればいいのでしょうか。
不適切な手続きを踏むと後日、裁判沙汰になる無効と判断されて復職や損害賠償請求責任が認められる可能性があります。
不当に首にされたとして、労働基準監督署などに駆け込まれてから事後的に対処すると、機動的に対応できる選択肢は限られてしまいます。
軽々にクビにするより先に、小さなトラブルのうちから対応してやむをえないときに至って初めて採集手段に打って出るのが懸命です。
とはいっても強硬手段に出るほかない場面も想定されます。
目次
就業規則においてクビにできる場合が規定されている
大原則として確認しておくべきなのは、就業規則においてクビにできる場合が規定されていること。
10人以下の社員の事業所では就業規則の作成義務が免除されているので注意が必要です。
そこでどのような問題を抱えているのかに応じて、従業員を解雇できる方法を検討してみましょう。
問題の分類
問題と一口に言っても、次の4つに分類することができます。
1業務遂行能力に問題を抱えている場合、
2懲戒事由に該当する事由が存在している、
3健康状態が芳しくなく業務遂行に問題が出ている
4破産手続きか意思決定を受けるなど経済的に問題を抱えている場合
の4つです。
業務遂行能力に問題を抱えている場合
1業務遂行能力がない場合、つまり労働能力がない、と見られるとき、就業規則で「勤務成績不良で就業に適しないとみとめられるとき」などの定めが存在していれば馘首できる可能性があります。
とはいえ経営者目線で労働能力がないと判断されても、漠然とした理由と客観的合理的にに判断されるようであれば後日不当性を主張されても有効な反論ができないリスクがあるわけです。
会社が必要としている労働能力についての基準を明確にしたうえで、その基準をクリアできないという事情を証明できるような証拠を収集しておくことが合理的です。
明らかに労働能力が劣っていると判断されても、いきなり馘首宣告をすることは回避するべき。
とりあえす改善のための注意指導をしたうえで、猶予期間を設けるなどして将来の解雇の可能性を示唆してくことは懸命です。
懲戒事由に該当する事由が存在している
2就業規則に列記された事由に該当する非行や不良行為などが看取されるときでも。
それだけでは後日無効と判断される可能性は否定できません。
事実を指摘し従業員に反省の機会を与えておいてから、それでもなお非行行為などが継続して存在しているとの正当性を証明する資料を収集する姿勢が求められます。
問題をおこしたのであれば注意喚起し始末書などを提出させたり、書面による注意喚起などしておき証拠に残しておく奥ことが必要です。
とりわけ解雇は懲戒処分のなかでも最も重いものなので、減給や降格などより軽い手段を事前に発令しておかないと無効と判断される可能性があるようです。
健康状態が芳しくなく業務遂行に問題が出ている
3健康状態が芳しくなく、長期間にわたり業務遂行上の重大事由に該当する場合には普通解雇が有効と判断される余地はあります。
しかしいきなりクビにすると人事権の濫用と見るリスクは否定できません。
就業規則に傷病休暇制度などが設定されているときは、所定の休業期間の上限まで健康状態の回復をまつのがベターです。
労働基準法上は両用機関および終了後30日までは馘首できないと規定されていることも忘れないでください。
破産手続きか意思決定を受けるなど経済的に問題を抱えている場合
4破産などの経済的能力に失墜事由が存在するときは、そもそも解雇の対象とみることは困難。
破産とはあくまで個人的事情であり業務遂行能力に関係する事柄ではないからです。
多額の債務があるとか、破産申し立てをしたとかの事情だけでは首にすることは許されません。
もちろん経済的に課題を抱えた従業員が、金銭出納などの部署におくのに不安があるときは配置転換などで対応するのが筋といえます。